大阪府のA新聞で新聞配達のアルバイトをしている太郎君は、1日3時間・週6日働き、毎月5万円もらっていました。しかし、太郎君の月給は労働法違反です。
なぜなら、雇用主は太郎君を最低賃金以上で働かせる義務があるからです。太郎君の賃金を時給に換算すると
月給50,000円÷(3時間/日×25日/月)=667円
大阪府の最低賃金は800円のため、完全に労働違反であり、太郎君は雇用主に以下の金額を請求できます。
800円×3時間/日×25日/月=月給60,000円
いままでのお話しに出てきた法律を詳しく紹介します。
多くの新聞配達店では1部300円×200部=月給60,000円のように給与が決められています。
「月給÷1ヶ月に働いた時間=各都道府県が定める最低時給より低い」状態ならば、正社員であれバイトであれ、すべての労働者は「最低時給×労働時間」以上の給料を請求できます。
なぜなら、雇用主は最低賃金以上の賃金を労働者に支払う義務があるからです。
例えば労働者と雇用主の間に「最初の1ヶ月は時給500円でいいです」や「4時間2,000円で働きます」などの、最低賃金以下の合意があっても、その合意を無効にできます。
よって、後から最低賃金を請求出来ます。
下の表は各都道府県の最低賃金額です。数値は平成24年度のものですが、毎年数円から十数円上昇いるため、現在はもっと高い可能性があります。最新の最低賃金額は「都道府県名 最低賃金」で検索するとわかります。
都道府県名 | 最低賃金時間額【円】 | 発効年月日 |
---|---|---|
北海道 | 719 | 平成24年10月18日 |
青森 | 654 | 平成24年10月12日 |
岩手 | 653 | 平成24年10月20日 |
宮城 | 685 | 平成24年10月19日 |
秋田 | 654 | 平成24年10月13日 |
山形 | 654 | 平成24年10月24日 |
福島 | 664 | 平成24年10月1日 |
茨城 | 699 | 平成24年10月6日 |
栃木 | 705 | 平成24年10月1日 |
群馬 | 696 | 平成24年10月10日 |
埼玉 | 771 | 平成24年10月1日 |
千葉 | 756 | 平成24年10月1日 |
東京 | 850 | 平成24年10月1日 |
神奈川 | 849 | 平成24年10月1日 |
新潟 | 689 | 平成24年10月5日 |
富山 | 700 | 平成24年11月4日 |
石川 | 693 | 平成24年10月6日 |
福井 | 690 | 平成24年10月6日 |
山梨 | 695 | 平成24年10月1日 |
長野 | 700 | 平成24年10月1日 |
岐阜 | 713 | 平成24年10月1日 |
静岡 | 735 | 平成24年10月12日 |
愛知 | 758 | 平成24年10月1日 |
三重 | 724 | 平成24年9月30日 |
滋賀 | 716 | 平成24年10月6日 |
京都 | 759 | 平成24年10月14日 |
大阪 | 800 | 平成24年9月30日 |
兵庫 | 749 | 平成24年10月1日 |
奈良 | 699 | 平成24年10月6日 |
和歌山 | 690 | 平成24年10月1日 |
鳥取 | 653 | 平成24年10月20日 |
島根 | 652 | 平成24年10月14日 |
岡山 | 691 | 平成24年10月24日 |
広島 | 719 | 平成24年10月1日 |
山口 | 690 | 平成24年10月1日 |
徳島 | 654 | 平成24年10月19日 |
香川 | 674 | 平成24年10月5日 |
愛媛 | 654 | 平成24年10月24日 |
高知 | 652 | 平成24年10月26日 |
福岡 | 701 | 平成24年10月13日 |
佐賀 | 653 | 平成24年10月21日 |
長崎 | 653 | 平成24年10月24日 |
熊本 | 653 | 平成24年10月1日 |
大分 | 653 | 平成24年10月4日 |
宮崎 | 653 | 平成24年10月26日 |
鹿児島 | 654 | 平成24年10月13日 |
沖縄 | 653 | 平成24年10月25日 |
全国加重平均額 | 749 |
「通勤手当を足すと最低賃金を上回っているから合法だ」と言う雇用主がいるかもしれませんが、間違いです。なぜなら、最低賃金には以下のものを含みません。
1日8時間働いている場合や、午後10時?午前5時に働く場合は最低時給×1.25へ。週7日働く場合は最低時給×1.35倍の給料を絶対に受取れます。
平成20年7月から、最低賃金額以上の賃金を支払わなかった雇用主に対する罰金額の上限は、2万円から50万円に改められることになりました。
法律に基づく賃金を払おうとしない雇用主に対しては、罰金があることを伝えましょう。